夏と秋の間に読む本。
今週のお題「おすすめの本」
久しぶりにブログ。前回書いて1ヶ月くらい経ってしまった。
まだまだ暑いけれど、真夏のあの暑さとはちょっと違う、カラリとした暑さ。
外回りの人は「まだだ、まだ(夏は)終わらんよ・・・」と汗をかきながら言い、
僕のように内勤の者は久しぶりに外に出ると「夏が終わろうとしてますね」なんて言ってみたりする。
夏が終わるのは名残惜しい。でも次にくる季節「秋」も捨てたもんじゃない。
若いときは秋が好きだった気がする。セピア色の放課後みたいな感じが好きだったのだ。
日が長いのは夏のほうだけれど、秋は日が落ちる時間と学校の放課後が絶妙にリンクしている。
体育祭?文化祭?秋の学生は忙しい。日が暮れるまでが勝負なんだぜ。
30歳を越えてしまうと、学生時代がどのくらい面白かったかなんて、ぼんやりとしか覚えていないのだけれどね。
大人になって自分のお金で好きなものを食べるのは悪くない。だから大人になった今の方が、
食欲の秋って感じがする。
でも、今週のお題でもある読書については、やっぱり学生が主役のものをお勧めしたい。
ちょっと時間を戻して、あの頃の自分に重ね合わせるのもちょっと素敵な時間でしょ。
そんなわけで、僕がお勧めする本は2冊です。
恩田陸『夜のピクニック』
本屋大賞にもなった本なので、知っている人も多いかもしれないけれど。未読の人は必見の本。
高校生活3年間で1度だけある「歩行祭」全校生徒が夜を徹して80キロを歩くというこの行事に主人公の貴子は誰にも言えなかったある秘密を清算するために密かな誓いを胸に抱いて参加する。
僕の高校にも、実は似たような行事があってそれは昼間歩くだけだったけれど、全校生徒が私服で40キロくらいを歩く会があった。
普段の学校では見えない、いろんな側面や、歩きつかれた疲労からでるちょっとした人間性とか、いろいろ興味深い会だった。
普段からつるんでいる奴とは一緒に歩かなくて、意外な人物と歩いてたり話してたりした記憶がある。なんでだろう?
『夜のピクニック』にはこの歩く会というのに、いくつかポイントがあって、
- 夜通し歩く
- 80キロという長距離
- 主人公はある秘密を持っている
- 高校生活最後のイベント
学生の他愛の無いおしゃべりしながら歩くという会が、いくつかの条件で過酷になっている事と、それぞれの登場人物にとって大きなイベントだから、主人公の貴子の密かな賭けが成就するかがわからない事がただの青春小説に深みを出していると思う。
大きな事件が起こるわけではない。高校生達がただ歩いていくだけの話。
ただ、その歩く行為の中に、いろんな想いがでるのだなぁと感心する。
春だと、まだ学生生活の締めくくりには早すぎる。夏だと暑すぎる。
冬だと寒すぎる。
夜歩くのは秋が一番なのかもしれない。
秋の読書で手に取るにはかなりお勧めの本です。
もう一冊のお勧めの本を書こうと思ったのだが、これはもうちょっと秋が深まったら読む本かしら?と思ったので、今回はこの辺で。