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心のパンツは脱げるのか?

30代のおにー・・・おっさんが心のパンツを脱いで話しかけるよ。

1998年2月17日のチョコクッキー

今週のお題「バレンタインデー」

今年(2016年)のバレンタインは日曜で、会社で義理チョコとか配られたりして3月にお返しをどうするか?とか悩まなくていいので、この前バレンタインは祝日にならないかな?なんて思ってる。

祝日ならわざわざ会ってまで渡すのは本命チョコだろうしね。とはいえ、恋がはじまるか、はじまらないかの境界線にいる人にとっては偶然を装える平日の方がいいのかな?なんて事もちょっと考えるのだけど。

バレンタインの想い出って何かあるかな?って考えると断片的にはあるのだけれど、若い頃は特に縁がなかったとも思う。

ちょっとTwitterでバレンタインのお話をさせていただきながら、自分の中のバレンタインの想い出を掘り起こしてみたら、それはチョコではなくて、チョコクッキーだった。

1998年だと思うので、もう18年も前の話。

僕はその頃大学生で仕送りだけではちょっとやっていけなくてアパートのある最寄駅の中古CD・ゲーム屋さんでバイトをしていた。

あの頃ってまだブックオフがなかったか、普及してなくて、街には個人商店か中規模の中古屋さんが結構あった。僕はゲームが好きだったから時給の安さに目をつぶり趣味と実益を兼ねたバイトをしていたのだ。

初めてのキチンとしたバイト経験だったし、中古の買取という不思議な世界の事を思い出すと、結構おしゃべりがしたくなる。タマゴッチの白の買取とか。安室奈美恵がいかに売れていたかとか、プレステとセガサターンの戦争とか。あの頃ってサイコーだったよな!って話。

でも、今日はバレンタインの想い出を書いてみよう。

秋にふらりと店に入ってきた女子高生。うちの店は縦長で10畳もないくらいのお店だったから一見さんには厳しい店だったんじゃないだろうか?でも、その女子高生は一人で入ってきて、ニコニコしてた。

書きながら思い出そうとするけど、流石に当時のシチュエーションや、顔とかははっきりとは思い出せない。ただ、とても笑顔が綺麗な子だったと記憶している。

どんな会話をして仲良くなったのかはわからないのだけど、たまにお店に来て1人で店番してる僕と小一時間くらいおしゃべりをしてくれた。

今だったら、きっと連絡先とか交換しようとしてたと思うのだけど、当時の僕は職場でお客さんとしてきてくれた人に馴れ馴れしくしすぎるのは良くないって変なストッパーをかけていて、お話の中でその子が年明けに受験を控えている事も知ってたから、なんというか踏み込んじゃいけないと思ってた。

…と格好つけていたとは思うのだけど、シンプルな話で当時の僕には彼女と自分にあるラインが見極められなかったから、怖くて一歩を踏み出せなかったのだと思う。

『受験が終わったら、また来ていいですか?』

という言葉を残して、その子は秋の始まりに現れて、秋の終わりでいなくなった。

僕もその頃は大学のゼミが忙しくてバイトは週に1.2回のシフト。でも職場は好きだったから学校帰りに『儲かってます?』なんて寄らせてもらって過ごしていた。実際にバイトを辞めたのはいつぐらいだったか、曖昧なのだけど、春先には辞めたと思う。

大学生のバレンタインデーって彼女がいなければ何気につまらなくて、学校は大抵休みだったと思う。丁度、受験期間で。2月14日に僕が何をしていたかはもう覚えてない。

ただ、久しぶりにバレンタインを過ぎた頃にバイト先に顔を出したら歳上の後輩のS君に

『あの子、来たよ。渡してくれって』

と可愛い缶に入ったチョコクッキーを貰った。

結論を言えば、それでおしまい。

その缶には特にメッセージもなかったし、僕も結局お返しは渡せなかった。

お店で店番をしないと接点がない僕とお客さんの彼女と。お店を辞めて接点の持ちようがなかった僕と。

『それは義理チョコだよー』

って言うのは簡単なのだけど、想い出は美化されるものだ。いいだろ?

断片的にだけど、覚えてる、あの子がお話してくれた話。母子家庭である事や、とても頭のいいお兄さんがいて尊敬してる事、自分がなりたい夢のためにちょっと背伸びした学校を受験する事、好きなゲームの話。受験が終わったらもっとお話したいんですって話。

僕はもっと彼女と話をしたかった。

顔をもう思い出せないくせに

『この子の笑顔は素敵だな』って思った事は凄く良く覚えてる。

あの頃、僕が携帯持ってたら何か変わったろうか?LINEがあったら、話の続きを聞く事が出来ただろうか?

僕はよく、自分の学生時代に今のようにSNSや、せめてメールがあったら、もっともっといろんな人といろんな話ができたんじゃないかと思うのだけど、

やっぱり、1998年にLINEがあっても、あの子に連絡先は聞けなかったんじゃないかと思う。

今ならね、今の僕ならあの時の僕と彼女の距離感がどの位で、どこまで踏み込めるか、たとえ振られても連絡先を聞く事をしようとか思ったと思う。

1998年の僕はどうしようもなく、距離感をはかるのが苦手な若者だった。本当に話をしたい人に素直になれなかった。

1998年に僕が食べたチョコクッキーはちょっとほろ苦くて、何もお返しができないままなのです。

『あなたとお話をもっとしたいです』

バレンタインって急に恋が降ってくるものじゃなくて、多分、こんな気持ちの積み重ねなのだと思うので、バレンタインに勇気が出せなかった人も、自分には縁がないと思ってる人も、先ずは話をしたい人にその気持ちを伝えるところから縁がはじまるんじゃないかと書いて僕の想い出話を終えようと思います。

それでは、また。