心のパンツは脱げるのか?

30代のおにー・・・おっさんが心のパンツを脱いで話しかけるよ。

ドキュメント72分『23時。眠らないソファーの上で』

カッチ、カッチ、カッチ♪

(男の声)「眠るのは怖いよね…」

 

ナレーション:市川実○子(以外、ナ)

人生の曲がり角。「中年の危機」に悩む人が増えている。

緩募:「煮詰まった中年男性」の気分転換の方法 - いつか電池がきれるまで

何か事件になるような「死にたい」から「何者にもなれなかった自分」とか、そんな大袈裟な事ではなくても、毎日生きてるだけなのに何故か息切れしている。空気を吸っているのに息苦しい。そんな毎日があるんだって。

 

今日の舞台はそんな中年の危機を迎えている45歳のおっさんが毎日寝そべっているソファにカメラを向けました。

 

撮影は23時から72分間。

カッチ、カッチ「2022年9月29日 23時」

 

薄暗い部屋のソファに寝そべりスマホを見ている男がいる。

 

スタッフ(以外、ス)

「こんばんは。何をしているのですか?」

 

「ん?何も…何もしてないです。」

 

 

ス「スマホ見られてましたけど、何か面白いものでも?」

 

 

男「いや、見てるけど何も頭に入ってないよ。眠らないからさ。なんかやる事なくて眺めてて…」

 

ナ「何か心配事があって眠らないのかな?」

 

ス「眠れないのですか?」

 

男「いや、眠れないわけじゃなくて、眠らない。寝たら明日が来ちゃうでしょ?眠るのは怖いよね…」

 

ス「明日が来るのが怖い?」

 

男「いや、そういうわけでもないのよ…うん、いつだって今日より明日の方がいい日だよ。絶対そう。俺の若い頃なんてスマホなんてなかったからね。部屋暗くしたら寝るしかないもんね。うん、明日はきっといい日だよ、そうだといいなと思う。」

 

ス「でも怖い?」

 

男「怖い…のかなぁ?寝るのがね、勿体ないんだよ。仕事して、ご飯食べて、お風呂入って、さぁ明日に備えて寝よう!…ってさ、なんか違う気がして、もっと、こう、何かあるんじゃないかなと。」

 

男「でもね、別についさっきまで仕事してたわけじゃないよ。何かする時間は十分にあった。あったんだけど、何もね、何もする気がなくて…今に至るわけです」

 

男。席を立ち隣の部屋から何かを持ってくる。

バリバリ(封を切り何かを取り出す)

 

ス「それは?」

 

男「これ?チョコバッキー。知ってる?シャトレーゼの。6本入で買い置きしてるのよ。この時間に食べるのダメだって知ってるんだけどね…笑」

 

ナ「チョコバッキー美味しいよね」

 

ナ「ダメだけどやめられない?」

 

男「笑。別に依存症じゃないよ。こんな時間に食べない方がいいのは知ってるし、明日の仕事考えたら早く寝たほうがいいもんね。太るし。ただ、寝るの勿体無い。でも、やりたい事があるわけでも、何かしたい事できてもやる気力ないんだよ…アイスはさ、甘いでしょ?食べるだけだし」

 

ナ「チョコバッキー甘いよね」

 

ス「苦しそうですね…」

 

男「胸がね。ぎゅーっとね、締め付けられるというか、突き指した指を微妙にずっと触ってる感じというか、モゾモゾするんだよ。気持ち悪いんだ」

 

ス「ご病気なのでは?」

 

男「至って健康…というと嘘だけど、この歳になるとね。健康が大事なのは嫌というほど理解してるから人間ドックも含めて心身共にチェックしているよ。病名がつくようなものじゃないんだ。…先のことは知らないけど、今はね。病名がつくような理由でここにいないのは理解してるの」

 

ス「理解?」

 

男「そうだね。理解してると思う。別に死にたいとかじゃないよ。明日は仕事だし、週末もまぁ何かしら用事はある。自分の役割はわかってるし、それなりに努めてると思う。」

 

男「役割もやるべき事も分かってて、頑張ってるけど、そういう周りの人からの俺じゃなくて、俺自身が俺だけがやりたい事がわからなくなっちゃったんだなぁ…体が動くようなやりたい事が…」

 

ナ「なんだかどっても苦しそう…中年の危機ってこういうのなのかな?」

 

ス「中年の危機ですかね?」

 

男「よく聞くよね。そう…なのかもしれないし、違う気もする。多分ね。言い方は悪いけど飽きちゃってるんだと思うんだ。これやると、大体どのくらい心が動くかな?とか経験でなんとなく分かっちゃう。何か、何か新しい刺激をって思いつつ、日々の役割でエネルギー使ってしまってるのかもね」

 

ス「危機は乗り越えられる?」

 

男「そう願ってるけど、個人差はあるよね。中年の危機って自覚してるだけで、それは幸せなことかも知れないでしょ?贅沢病なのかもしれないよね。ただ、個人に戻って新しい刺激を得るっていうのは自分なりに解決する方法は模索してる」

 

ナ「なんだろう?」

 

ス「良かったら、教えてもらえませんか?」

 

男「まだ、試してないんだよ…自分で実践してないこと、偉そうに言えないよね。でも、試す時が来たら、またお話しさせてください」

 

(『川べりの歌』流れ出す)

 

男「そろそろ0時も過ぎたし、布団に入りますわ。0時に寝ても3時ごろ目が覚めちゃうんだけどね…少しでも眠るの遅らせれば、ちょっと長く眠れるもんね。おやすみなさい。」

 

川のせせらぎが聞こえる〜家を借りて耳をすまし

、その静けさや激しさを覚えていく〜♪

 

男、寝室に消える。

 

一瞬しかない、一瞬しかーないー♪

 

■本記事の公開は10月2日16時45分ですが、記事を書こうと思ったのは9月28日23時のソファの上でした。書いてみるか〜と思っても頭の中で考えるだけで手が動かない。そんなこんなで時間だけが経過していく毎日です。