心のパンツは脱げるのか?

30代のおにー・・・おっさんが心のパンツを脱いで話しかけるよ。

【残り2回】深夜のモネ語り

いよいよ残り2回となった『おかえりモネ』であるが、木金しかないのに大団円には程遠い状況。というか、水曜にヘビー級の重いやつをぶっ込んできた。びっくりした。

 

そもそも1週間違えたとはいえ、モネのラストに向けた展開はヤバいと思っていて前にもブログに書いたのだが当たらずとも遠からずになっていた。遠からずというのは

・永浦水産の今後の方向性

・りょーちんとみーちゃん

がとりあえず決着して、最後にモネの結婚あたりでコロナはあるが、まぁめでたしって終わりに向かうの?くらいのテンションだったのですよ。

【間違えた!】毎日楽しみにしている『おかえりモネ』への最近のモヤモヤと最終週への期待? - 心のパンツは脱げるのか?

 

りょーちんは死ぬ事は考えてなかったが案の定「みーちゃんに会いたいと思った」とか言って、安易にくっついてるし、これはこれで色々言いたいわけですよ。

りょーちんが無理やりな笑顔で作っていた壁の世界から解放されたのだとしたら、それまでの情とかで安易にみーちゃんと付き合うとかないだろうと(前に書いたように民放とかの爛れたドラマなら既に情とも言えるような男女の関係があるなら別に)

…これについては話がズレるので今日は割愛。

 

何しろりょーちんとみーちゃんがくっつくことで、みーちゃんの大学はどうなった?って思っていたら、今日の今日になって、みーちゃんが1番呪われていたと発覚。

どうすんの?あと2回よ?

(※表現上、呪いと書いてますが震災に関する悲しい出来事を安易にこの様な表現はしちゃいけないのは理解してますが、ドラマに関する感想として使わせてもらいます)

 

みーちゃんは「震災時に祖母を見捨てて避難した。」という、無茶苦茶重いものをずっと背負っていた。

 

これ、あと2回で心の枷から解放するのだとしたら、最後の最後で楽したなって印象。

これが俺が脚本家に操られて金曜日に「なないろ」聴きながら涙流すことを切に望む。

 

【何がヤバいと思ってるのか?】

おかえりモネは震災に関してとても丁寧に、でもドラマの構造としては複雑に(だから丁寧に)を繰り返してここまで来たドラマだと思う。

 

震災については象徴的な3人がいて、

具体的には

モネ

・被災地の出身であり、当時も住んでいたが震災時に音楽学校の受験発表の為、地元を離れていて直接の被災を目の当たりにしていない。

その為、当時地元にいた家族、友人達との間に見えない溝が出来たとモネは感じており、それがドラマの発端である地元を出るところから始まる。

・特にみーちゃんからの「おねーちゃんは津波見てないもんね」はめちゃくちゃ枷となっていたはず。モネに対する地元の無言のメッセージ(実際はそうじゃなくともモネにはそう感じている)

 

新次さん(りょーちんの父)

・名漁師であり震災前に船を買い、家族3人で幸せの絶頂だった。

・震災で船どころか、妻を失った。行方不明である。死亡届は出していない。

・震災後、船を買うことを考えたが融資が下りず、そのまま宙ぶらりんの日々。

 

りょーちん

・そんな父を見ながら、笑顔を絶やさず漁師になる

・その笑顔が壁なのはみんなわかってるが、りょーちんがどれだけシンドイ事になってるのかわかってるので踏み込めない。

 

おかえりモネは、モネが気象予報士をツールとして、地元に帰る話になっているが、登場人物の心理描写として震災関連は特に上記3人が顕著であり、ある一週で終わるわけではなく、少しずつ少しずつ、歩み寄って心の枷を外すところまで来た(個人的にりょーちんが安直すぎると上記リンクで心配した)

 

【枷の解除】

モネ

・震災時に現地におらず何も出来なかった事へのリベンジとして気象予報士という武器を手に入れる。

・地元の安全には今も異常な執着があるが、菅波先生やサヤカさん、ウェザーエキスパーツの面々を中心とした、一度地元を離れたことによる「誰にもそれぞれ何かしらある」を知る

・その上で地元の人達のそばにいたいと決意

・婚約者の菅波先生とは遠距離恋愛という形になっているが、離れてても心が繋がるなら大丈夫。という、地元への呪いとは真逆の安心感も得ている。

 

余談だが本編はコロナ禍に入り、菅波先生は感染症の医者らしく東京に戻るので、半分冗談で書いた「ラストシーンは菅波先生の携帯にモネからのLINEメッセージが映って"わたしはここにいます"になる心配をしている」があながち外れてないかもと思ったり。

 

話がずれたので戻す。

モネに関しては主人公なので全編通じて、モネが島を出た理由から島に戻る今までを描いている。

個人的に何度も言うがモネにとってのおかえりはモネが大好きな楽器を自分で吹くことだと思ってる。なさそうだけど。

 

新次さん

浅野忠信はすげぇわ。

これはモネの本編がありつつ、別にエピソードを少しずつ積み上げて来て先週全て開放した感じ。

「妻が行方不明」

という、確実な死を認識できることがないまま、宙ぶらりんの辛さという、とても難しい話を脚本と浅野忠信の力で描き切ったと思う。

細かいエピソードの積み重ねは長くなるので省くけど、

・行方不明を死者にするという行為(死亡認定)についての葛藤といくら復興を成し遂げ多くの人に笑顔が戻ったとしても震災で失った命は1つも復興する事はないという現実。その上で自分だけじゃなく家族や大切な人のために区切りを迫られるという辛さ。

これは凄かったと思う。

死体を確認したわけじゃないから、いつか、奇跡的に生きててまた会えることがあるかもしれない。そんな風に思っていてもおかしくないのよ。

勿論、頭じゃそんな事はないもわかってて、だから「俺は立ち直らねぇ」だったわけで。

でも区切りをつけなくちゃ周りが先に進まないのもわかってて、それをするには自分自身の手で愛する人は死にました。と認める書類を出さなくちゃいけない。

「これを出したら、全部なかった事にならないのか?」って恐怖。

妻が好きだった歌も伏線として、怒涛の終わり方をして、お腹いっぱい。

そのくらい、難しいことを本当に丁寧に積み重ねてきたと思う(りょーちんの船のやつについては丁寧ではないと思うが時間は限りあるのでしょうがない)

 

りょーちん

そんな父を持つりょーちん。自分どれだけ不幸なのか自覚しつつ、「同じように辛い人もいる」もわかった上で、飲み込もうとして、いつでも笑い頑張る好青年。

周りもわかってて、とはいえ、腫れ物というわけでもなく。

りょーちんについては消化不良だとは思う。

でも仲良し同級生が震災で変な風に繋がっている。というのは東京編も含めてしっかりと描いていたので、決着は消化不良だけど、震災で自分自身も最愛の母を失い、同じく最愛の妻を失った父親を見ながら、子供ながらに背負って頑張ろうとした姿はキチンと伝わった。

 

…と。そんなわけで震災について象徴的な3人をそれぞれエピソードを重ねながら最終回に向けてきたわけで、上記の通り、納得いくかは別としてそれぞれの決着を描こうとしていたと思うのだけれど、最終回直前に

 

みーちゃん登場。

 

いや、みーちゃん自身も震災を体験しなかった姉のモネに対して、当時現地にいた妹として、先に書いた「おねーちゃんは津波みてないもんね」をベースに、モネにとってみーちゃんこそが、被災してた自分としての写鏡みたいな存在だったとおもっていたのだが、

 

残り2回しかないのに

 

・震災で津波からの避難時に家族は守れなかった生存者

 

ってのをぶっ込んできたから驚いた。これあと1ヶ月は必要な話だと思う。

実際、東日本大震災がおこって最初の1.2年は特集の中で家族の手を離さなければならなかったエピソードなんかもあったはずで、自分の命は助かった。でも家族を見捨てた(という構図になってしまう)物凄く辛い話があるわけで。

 

みーちゃんはばーちゃんは生きてたけど、今日の放送で「何を言っても動いてくれなくて、私だけ逃げた」を多分誰にも話せずにいた。

 

みーちゃんはこれまでのエピソードで「ちょっと病みすぎだろ」って思ってたけど、今日の話で納得してしまうくらいの呪われ方をしていたわけです。

 

これあと2回で解決するとしたらマジでソードマスターヤマトだぞ。

あるのか?モネ2(コロナ禍終わり次第制作開始)

くらいに、これからコロナ禍に入り菅波先生もどうなるかわからない、そんな世界になるのを視聴者は知っているのに、どんな結末で【朝ドラ】を着地させるのだろうか?

 

モネと菅波先生の「それぞれの場所でいつか会える日まで頑張る」って終わりのような=視聴者の皆さんも同じく。

みたいな感じするけど、

 

みーちゃんどうするの?

ばーちゃんは震災の時は呆けてたのか?

許すとか許さないとかそういうのじゃなくて「家族を捨てた」って枷を持ってしまったみーちゃんは何をしたら救われるの?

 

時間があればきっと解決というか光が見えた形で終わると思うけど、あと2回ですよ?

これは前回のブログと同じで『プロの脚本家すげ〜』を期待するしかない。

 

実際、震災数日後にモネが島に戻ってみーちゃんと再会した時の「おばーちゃんは?」でみーちゃんがうつむいて無言になったあのシーンがここに繋がってたとは思わなかったし。

すげーよ。すげぇ。って思いつつ、だからこそ、残り2回でどうするんだ?

がさっぱりわからないので、明日と明後日をドキドキしながら見守りたいと思います。

 

深夜のモネ語りでした。

 

まる。