心のパンツは脱げるのか?

30代のおにー・・・おっさんが心のパンツを脱いで話しかけるよ。

デパ地下のホームズ。『和菓子のアン』読了。

こんばんは。
面白そうだと本屋で手にとり買ったはいいけれど1年くらい家で眠っていた小説を読みました。
坂本司『和菓子のアン』

和菓子のアン (光文社文庫)

和菓子のアン (光文社文庫)

デパ地下を舞台にしたほのぼのミステリーとなっておりますが、正にその通りでとても楽しく読むことができました。

僕は和菓子と洋菓子なら食べる機会は圧倒的に洋菓子が多いのですけれど、和菓子も好きです。めったに食べませんが本当に美味しい和菓子は見た目も美しく、味もとても上品で、スーッと口の中で消えていくような感じ。

この『和菓子のアン』の読後感もスーッと心に溶けていくような素敵な物語でした。

主人公のアンちゃんのデパ地下の和菓子店でのアルバイトを通じた1年間のお話しなのですが、アンちゃんの成長物語としてはもちろんのこと、和菓子を買いに来るお客様とのちょっとしたミステリーがとても面白いです。

和菓子には食べられる季節やお菓子毎の由来がある中で、お客様とのちょっとしたやりとりから、最適な和菓子を薦める店長の椿さん。さながらデパ地下のシャーロックホームズのようです。お客様を観察し、何故その和菓子を注文されるかを推理し、的確に対応する。その推理を目の当たりにしながらアンちゃんもいろんな体験をしてゆきます。

何か大事件が起きるようなミステリーではないですが、和菓子を買おうとするお客様の機微や和菓子の知識から導かれる答えがなかなかよいです。

1週間前にAとBの和菓子を5個ずつ買ったお客様が、今度はAを1つ、Bを9つ購入。なぜAを1つだけ買ったのか?そして3度目の来店時に店長の椿さんが進めた和菓子とは。こう書くと意味不明だと思いますが、そのお菓子の由来や、なぜいびつな買い方をしたのか?から推測される結末。きちんとミステリーになっているのだなぁと感心しちゃいました。
まぁちょっとこじつけ感がある時もありますが、それはご愛嬌。

もうすぐゴールデンウィークです。普段は和菓子を食べない人も、柏餅を食べたりするんじゃないでしょうか?和菓子はなんとなく季節のイベントの時期に重宝されますよね。実際はなんとなくではなくきちんと背景があるのでしょうけれど。

和菓子がいつもより身近になるこの時期、ちょっとお勧めの小説なのでした。

読むと和菓子が食べたくなりますよ!

それでは、また。