僕は現在35歳で今年36歳になるわけですが、
10代や20代ではあまり考えなかった病気や健康診断の怪しげな項目の怪しげな数値なんかをみると
体はどんどん衰えているのだなぁとか暗い気持ちになったります。
すでに他界している父は59歳でこの世を去ったということもあり、なんとなく「59歳」というのが
一つのベンチマークになっていたりします。
あと24年。35年生きている自分にとっては同じ時間だけ生きられないのかなぁなんて思ったりします。
もう半分ないんだなぁと。
もちろんあくまでベンチマークなので、短くも、長くもなるのですが、
老いであったり、死というのは身近なものになりつつあります。
『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』は老後をインドのリゾートホテルで過ごす”はず”だったそれぞれ事情がある7人の英国人が
実際はボロボロの『マリーゴールド・ホテル』で新しい生活をはじめる物語です。
主役は長年『007』シリーズのMを演じていたジョディ・デンチ。
といってもジョディ・デンチを中心にしながら、その他6人の男女のインドでの生き方を描く群像劇といってもいいかと思います。
・40年連れ添った夫を亡くし、残された借金返済の為に家を売ってインドにきたイヴリン(ジョディ・デンチ)
・突然判事をやめかつて住んでいたインドに舞い戻ったグレアム
・退職金を娘の事業に貸したために財産を失ったダグラスとジーン
・異国での最後のロマンスを求める男。ノーマン
・お金持ちの夫を見つけに来た女。マッジ
・イギリスだと半年待たねばならない足の手術を早く受けるために嫌々インドにきた人種差別主義者といっていいミュリエル
この映画で描かれるのは理想のホテルでの生活と実際はボロボロだったホテルのGAPの中で過ごす高齢の男女ではなく、
インドという世界に飛び込み、自らを変えてゆくもの、頑なに殻にこもるものを描きつつ、
人を信じるというのは何か?
人を愛するというのは何か?
新しい事をするのに歳は関係ない。
という事を伝えてくれます。
彼らは長い年月を生きてきて、積み重ねてきた傷や後悔、果たされなかった想いを抱えつつ、インドという地において
新しい発見をしてゆくのです。
「このまま、このつまらない人生がずっと続くのかな」と一度でも思った事がある人は必見です。
慣れはあるのかもしれませんが、変わろうと思った瞬間から変化は始まるのだという事を教えてくれます。
公式サイトをみると公開している劇場が少なく残念に思います。
あぁ、僕にもっと語彙や読ませる文章がかけたらなぁ。
ブログを読んで一人でも映画館にいってくれたらなぁ。そのための力があったらなぁと考えずにはいられない作品です。
一人でも多くの人に観てほしい。そう思える映画でした。
『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』★★★★
それでは、また。
- 作者: デボラ・モガー,最所篤子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2013/01/10
- メディア: 文庫
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