鋼の錬金術師 嘆きの丘(ミロス)の聖なる星は『カリオストロ』になれたのか?
公開初日に観てきましたよ、『鋼の錬金術師 嘆きの丘(ミロス)の聖なる星』小さな子供と、大きなお友達が程よくミックスされた満員の劇場でした。
ハガレンの映画・・・これって誰が見に行くのでしょう?見に行っておいてなんですが、ずっと考えていました。(ファンなら観に行くんだよ!ってのはとりあえず置いておいて)
なぜなら、
前作の劇場版は漫画とは異なる展開になったハガレンのアニメ第一期の完結編であり、1年のTV放送を締めくくる位置づけにありました。
対して、今回の映画ですが
- 漫画は完結
- 漫画とほぼ同じ展開のTVシリーズ、ハガレン第二期も完結
という状況の映画です。
主人公であるエドとアルのエルリック兄弟の長い旅路は終わりをつげており、そんな中で発表された劇場版はどこに位置づけられるのかと思っていました。
結論から言えば、11巻という、物語が中盤に入ろうかという時期に起こった物語との事。
だとすると、原作を知らない人はそもそも設定がわからないし、原作を知っている人は、この先にエルリック兄弟の旅がどういう結末を迎えるかを知っているわけです。
では、この劇場版の位置づけって何よ?
前作の『シャンバラを征く者』にはTV版のストーリー完結編らしく「再会」や「決断」というテーマがありました。
今回の『嘆きの丘(ミロス)の聖なる星』はストーリーに何の影響もない事は原作を知っている人からすれば当たり前なわけで、位置づけが難しいと思っていたのですが、ヒントは設定集のインタビューにありました。
なんと本作はあの『ルパン三世 カリオストロの城』を目指して作られたとのことです。
エドとアルが見知らぬ場所で、見知らぬ人に出会い、別れまでを書くと。
個人的には、このテーマってカリオストロなのか?と思ってしまうのですが、どうなのでしょうか?
合っているのって「別れ」だけじゃね?ルパン自身はカリオストロ城も、クラリスも旧知でしょうに。
いづれにせよ、この映画は独立したサイドストーリーとして完結していますので、少しでもハガレンを知っている人なら楽しめるとは思います。
でも、どうせ目指すなら『カロオストロ』ではなく『劇場版のパトレイバー』を目指して欲しかった。
いっそのこと、エルリック兄弟を脇役にして、完結後の世界での事件を描いた方が面白いんじゃないかなぁと思います。
だらだら自分なりに考えをまとめましたが、結論としては「ファンムービー」であり、久しぶりにエドとアルに会える!っていう楽しみで観るのがいい映画でした。
映画の評価は映画デーやレイトショーの値段で観るなら損しないなぁと思ったので星2つです。
漫画は完全版が刊行開始されたので、集めるなら今がチャンスです。
引き伸ばしもなく、伏線もきちんと回収された素晴らしい漫画です。